池部素子の略歴
- 1899年(明治32年)9月7日東京に生まれる(幼名・甲田教)
- 1923年(大正12年)女子美術学校日本画科及び刺繍科卒業
- 1931年(昭和6年)池部俊長(雅号・康白)と結婚
- 夫とともに台湾に渡り、民芸創作活動
- 1933年(昭和8年)帰国。
- 1935年(昭和10年)大阪高槻キリスト教会で受洗
- 1940年(昭和15年)大阪府能勢町倉垣で夫とともに坐禅と農耕の生活に入る
- 1961年(昭和36年)夫俊長(康白)死去
- 1967年(昭和42年)[月刊まみず」(柏樹社)編集同人となる
- 同年9月[美の果てにあったもの](柏樹社・絶版))
- 1968年(昭和43年)京阪神まみず会(後の如是参禅会)を主宰
- 1969年(昭和44年)京都安泰寺で内山興正老師により在家得度(得度名・清涼華光大姉)
- 1989年(平成元年)10月27日大阪府能勢町倉垣で死去(享年91歳)
- 1992年(平成4年)著作集刊行開始
池部素子の生き方
- @画家として
- 草花を好んで描き、デッサン・水彩画・刺繍・ローケツにも、優しさのあふれるタッチで、素朴と繊細の不思議な合一を表現
- A書家として
- 流麗な書体に、控え目で、しかも強靭な意志を秘めつつ、短歌・禅語を書く
- B歌人として
- 自然を通して語る神の言葉を詠い、人生の背後にある愛と真心を、しみじみと、人の心の奥底に訴える。
- C坐禅人として
- 道元禅の只管打坐に徹するとともに、キリスト教・ヴェーダーンタ・金光教・天理教・黒住教・浄土真宗(妙好人)・その他の真人の言葉を尊び、生活において宗教を実行実修し、生活を通して真理を表現することを最重要とした。
- D自然
- 詩人の心で自然を読み、幼子の心で感じた自然の神秘に驚き、自然を通して語りかける神の言葉に、心を澄まして耳を傾ける。いのちの流れが創造した時間と空間の中で、一瞬ピカッと光ってすぐ消えるようなはかない人生。その人生の意味は何だろうか。自然はそう問いかけてくる。
- E美
- 美とは何か。人間において美しいものとは何か。人間において滅びないもの・永遠に輝いているもの・人間に希望を与え、人生に意味を与えるものは何か。それを表現するのが本当の芸術である。美とは、人間においては、真心である。また、美とは、「神」の替え名である。神は愛であると言われている。従って、美も、愛も、真心も、みんな一つのものである。
- F宗教
- 本当の宗教とは何か。それは、万人に必要ないのちの糧を与えるものである。死を超えた永遠のいのちから、人間は生まれてきた。生まれる以前のいのちに帰る道が坐禅である。坐禅の中で、妄想をやめ、やめ、して行くことによって、いのちに目覚め、死の前に立ったときも、永遠のいのちの自覚のよろこびを、自分自身で眺められるようになる。その開眼が得られるまでは、死んでも死にきれない、といった強烈な願を持たなければいけない。
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